はじめに
労使間において未払残業代の請求はよくある事案といって良いでしょう。特に中小企業では賃金の支払体系が明確になっていなかったり、労働時間の解釈に関する認識の相違等の理由から残業代を巡るトラブルが発生しやすいといえます。また、固定残業代制や管理監督者の該当性を巡って争われることもあります。
未払残業代の請求について
未払残業代の請求においては遅延損害金のほかに付加金の支払が命じられることもあります。
予想外に請求額が増加する可能性もありますので、会社側としては、労働者からの請求内容を吟味した上で早期の支払をして解決を図るのか、それとも支払を拒否して争うのかを判断する必要が出てきます。その判断をするにあたっては、その後の展開も考慮して早めに弁護士に相談するのが良いでしょう。
退職金の請求について
また、労働者から退職金の請求がされることもあります。
就業規則や労働協約、労働契約等で退職金を支給することやその支給基準が定められている場合は、退職金の支払義務が発生しますが、退職金の支給が専ら使用者の裁量に委ねられている場合は、退職金は発生しません。
しかし、そのような規定がない場合であっても、従来から退職者全員に退職金を支払っているなど、退職金支払の労働慣行がある場合には例外的に退職金請求権が発生すると認められる場合もあります。
ですので、会社側としては退職金の支払について明確な態度を示しておく必要があるといえるでしょう。
未払残業代や退職金を請求された場合は事案に応じた判断が必要になりますので、早期に弁護士に相談することをお勧めいたします。